2019年12月25日

ヘッドライナー:ノヴィニュース 感想(途中からネタバレあり)

日本版公式:ヘッドライナー:ノヴィニュース | Chorus Worldwide

 自分の選択で結末が変わる系ゲームは大好物なので。新聞社の編集長となって、日々紙面に載せる記事を選んでいくと、世間がその影響を受けて変化していく。そして身近な人たちの運命も――てな感じ。

 正義を貫いて陰謀を暴くのも、政府に阿ってプロパガンダを垂れ流すのもあなた次第!という立ち位置なのかなあと思ったら、ロード画面を流れる字幕には「デマを報道中…」「暴動を教唆中…」とか不穏な文句ばかり……正義とか悪とか関係なく、世論を思うがままに操ってグハハハハ愚民ども!って楽しむのが主眼なのかな、どちらかというと。

 まあ確かに、ニュースで取り上げたことが即時反映されて、ちょっと政権批判の記事を出すとその日の帰りには反政府デモが行われてたり、国民皆保険いいよねーって記事を出すとそれが成立して病院に長蛇の列だったり。国民踊らされすぎ。
 身近な人たちも、1,2周でだいたい人となりや抱えている問題が分かるので、社会状況がその人たちにどう影響していくのかが何となく予想できる。なので、この人を救いたいとなると、それに合わせてニュースを選別し……なるほど、確かに私情で世論を思うままに操ってるな!

 もちろん、知り合いなんか知ったこっちゃないさーと正義感の赴くままに陰謀を暴いてもいいし、カネがすべてじゃーと大企業にこびへつらうのもまたよし。その結果は、いいこともあれば悪いこともある。そんな諸行無常をかみしめながら、また次の平行世界へ。
 そして身近な報道に重ねて、これを流すことでどんな人がどんな影響を受けるのか、社会はどう変わっていくのか――そんなことに思いを馳せてもみたり。そんな報道のifをぎゅっと凝縮した佳作。


追記:世論誘導に慣れてくると、つい見出し+ライター名でぱっと判断するようになっちゃうけど、記事の書き方もポイントなので、一度はじっくり読んでみてほしいところ。特に、同じ出来事を正反対の視点から取り上げた記事がセットで出てくることがあるけど、同じ数字をかたや過大に、かたや些細なことに見せるよう書いていたりして味わい深い。現実にもよくあるねー。


 ここから先はネタバレありの感想なので、ある程度プレイ済みの方推奨。


 1周目終了時に登場人物が1人追加されたので、これから周回でキャラやエピソードが増えていくんだとばかり思っていたら、5周した時点ではどうもこれだけっぽい……いや何か特定の厳しめ条件を満たすと出てくるのかもしれないけど。本当にこれだけだとしたら、いっそ最初から全員出しておいて追加なしの方がよかった気がする。

 もうちょいがんばれば何か出てくるかも……と思いつつ、周回で全員それなりに救ったし、親政府vs反政府、国粋主義vsグローバル主義、医療制度をどうするか等、ひととおりやった感じなのでまあいいかと。たぶんこれ、全員が同時にグッドエンドを迎えることはないと思う。報道の力でベストエンドを目指せ!的なゲームではないと。それがいい。

 国民皆保険で救われる人と救われない人がいたり(これは分かりやすい)、かと思うとグローバル化で外国資本の店に圧された地元の店長は、路頭に迷うかと思いきや「あっちの店の雇われ店長でもやるか!」と悪くない方向に行ったりするので、一概にグッドエンドの反対がバッドエンドになるとは限らないところが面白い。

 また、大企業にこびへつらって不都合な真実をもみ消すなんて、そんなの間違ってる!って普通思うけどさ。このゲームでそれをやると、確かに金回りはよくなるので、それで助かる命や広がる将来もあったりする。というか、不都合な真実は伏せたまま金儲けに走った方が、幸せになる身近な人が多い気がするんですけど……汚職やら何やらの不祥事に手を染める人の気持ちがちょっと分かったような。

 ゲーム的には全員グッドエンドのルートがあったり、プレイヤーが名編集長として世間に評価される、みたいなのがあった方がいいんだろうけど……そうでないところが逆にお気に入りポイント。白でも黒でもなく、グレーの濃淡が広がるこの世界を報道という切り口で描いているところがしびれるのです。


 ……しかし2週目以降に時々挟まれる「おまえはまた繰り返す」みたいなメタいメッセージは、正直なくてよかったかな。あれをやるなら、それこそ「おまえは幾多の周回を経て覚醒した! さあベストエンドの扉を開いて皆を、この世界を救え!」ぐらいまでやらないと。
posted by 築城 at 12:14| 感想