2018年09月19日

Detroit: Become Human 1周目クリア後感想(途中からネタバレあり)

Detroit: Become Human オフィシャルサイト

 発売から少し経ってるんだけど、1周目クリアしたので感想、というか思いの丈を吐き出しタイム。途中まではネタバレなし、その後ネタバレ全開に移行(事前に予告あり)するので、未プレイの方お気をつけて。

■首根っこつかまれ、物語のただ中へ
 プレイ前の状態は
  • アンドロイドが自我に目覚めるというテーマは好み、超好み
  • 洋ゲーのフォトリアルな絵はちょっと苦手かも
  • 開発元の過去作は未プレイ、没入感とかで評価高いのは聞いたことある
というもの。まずは体験版をプレイし、
  • すごいこの絵でムービーじゃなくてプレイアブルなの?
  • あー何でもいちいち操作させるってこれかあ(正直ぴんとこない、どちらかというと面倒)
  • 360度動かせない操作はちょっと戸惑う(慣れかな)
  • 現場の手がかり探し面白い(犯行当時の状況再現とかサイバー感ある)
  • 手がかり見つけると手札が増えて、その後の展開も増えるのはオーソドックス
という感想。ただ、冒頭1エピソードの本格的に話が動き出す前なので、一番気になっていた「アンドロイドが自我に目覚める」部分は残念ながら判断できず……保留のまま発売日を迎える。

 そうこうしているうちに、プレイした人からの感想がぼちぼち上がってきて、「1周目は情報を入れずに、失敗したと思ってもやり直さずに」の声が複数。今の時代、情報を全く入れないままで長期間持ちこたえらるとは思えない。相変わらず気になっている「アンドロイドが自我に目覚める」テーマ。やっぱりやるしかないのか。

 そしてプレイ。まどろっこしいと思っていた各種操作や360度動かせない視点はいつの間にか気にならなくなり、次々とつきつけられる選択をひーこら言いながら選んでいき――気づけば引きずり込まれていた。
 アドベンチャーというと、全体を俯瞰してこっち選んだらどうなるかなーと醒めた目線で考える部分があると思うんだけど、それを許さない。画面から手が伸びてきて「高みの見物してないでこっち来いや」と首根っこつかまれて引きずり込まれる。そのまま物語のただ中に放り込まれ、選択をつきつけられ、その結果にいちいち揺さぶられる。没入感言われてたのはこれかと。

 3人の行く末をそれぞれ見届けて、しばらく普通の状態じゃなかった。比較的「ああよかったね」と言われるような最後だったと思うけど、そんなの関係なく頭も心もぐちゃぐちゃ、鉛が詰め込まれているようで、他の体験者に聞いてもらわないとダメだこれ!とまで。コミュ障ゆえ、ふだん人と趣味のことで語り合いたいとはあんまり思わないこの自分が。
 結局、ネタバレ覚悟でネットの感想やら何やら読みまくってどうにか落ち着いた。人の感想は楽しみだけでなく精神安定にもなるという知見を得た。閑話休題。

 そんな感じで、ネタバレなしの感想は「引きずり込まれ、揺さぶられる体験ハンパない」。ハラハラドキドキはふだんあまり好きではなく、グロ表現も多くて事前に知ってたら敬遠したかもってぐらいだけど、終わってみれば、これをスルーしないでよかった。やってよかった。

 で、肝心の物語の方は、もちろんネタバレなので未プレイだったらここでストップ。もしプレイするなら、先人たちと同じことを言う。「1周目は情報を入れずに、失敗したと思ってもやり直さずに」。





 さて、ネタバレ全開で物語の感想。

■これは、コナーの物語。(独断)
 3人それぞれの立場あり生き様ありでよかったんだけど、個人的に気になっていた「アンドロイドが自我に目覚める」という点でひいきが出てくる。

 カーラとマーカスは変異することが既定路線なので、基本悩むところがない。その場その場で「戦う/逃げる」といった選択はあるけど、その先の目的はそれぞれ決まっている。正直、この2人だけならアンドロイドである必要はなく、「不当に抑圧されている存在」であれば人間でもいい。
 しかし、コナーは違う。自身の変異そのものがストーリーの骨子であり、その過程を追うことになる。

 人間に従属し、命令を忠実に遂行するものとしてつくられた存在。それなのに、遂行の妨げや遠回りになるような選択をしてしまう。ソフトウェア異常のアラート。何かが少しずつ壊れていく――。
 裏でその選択をしているのが、正直つらかった。カムスキーの屋敷でクロエを撃たない選択をした後、「お役に立てず申し訳ありませんでした!」の悲痛な叫びが耳に残る。またプレイヤー自身、任務遂行か情に流されるか決めきれずにブレブレだったので、さらにコナーが振り回されているようにも思えて。
※任務第一で変異体は粛々と排除、ハンクともビジネスライクに接する。たぶんそう振る舞っても、お話的にはコナーが苦悩を深めていったんだろうけど。

 自分としては、これはコナーの物語だった。みんな大好きアンダーソン警部補とうまくやっていきたいと思いながら、でもマーカスを撃てずに変異体となり、ああこれでハンクとは敵対しなきゃならないんだな、次に会ったら撃つか撃たれるか選ぶのかなあと若干の後悔をしていたら――ハンクが助けてくれる道があったとは。彼の行動原理を全く理解してなかったってことですねハイ。この人、認めた相手であれば人間かどうかはどうでもいいらしい。ロックだ。
※個人的に、サイバーライフタワーでハンクが偽コナーに脅されながら現れる時の「悪いコナー、こいつお前にそっくりでな」は、ああこの人いい人だなと思ったお気に入りのセリフだったり。警察オフィスがドーナツだらけなのと同じくらい好き。

 予想に反して、コナーはハンクと手を取り合う満足エンド。マーカスもまた期せずして仲間全員生存&当面の自由を勝ち取り、カーラだけがわりと悲惨(カーラ以外全員死亡)だったんだけど、個人的にはそれもありかなあとか(ひどい)。普通なら、2周目で全員生存エンド目指すぞオー!ってなるところだけど、前述の体験感ハンパないのと、後述の理由で2周目に踏み出せないまま今に至る。


■これは、「ゲーム」ではない物語。
 コナーが変異体となったら、人間であるハンクとは敵対すると考えるのが自然。マーカスにしても、非暴力を選んだら武闘派ノースには嫌われるはず(逆に穏健派の好意度は上がるので悩ましい)。カーラなら倫理に反する選択をするとアリスに嫌われる――そう考えて選択を迷ったプレイヤーは多いと思う。
 でも実際は、変異体でもハンクには理解されるし(むしろそっちの方が彼にとっては望ましかった?)、信条の違う相手と恋仲になることもできる。アリスは……何だかんだでカーラを頼らないと生き残れない身なので保留。

 そのほか、「こっちを選んだらこうなるだろう」というプレイヤーの予測やお約束が通用しないところは多々あり、そこが不満に挙げられることもあるようだけど、自分はあまり気にならなかった。たぶん「そういうゲーム」ではないんだろうと。
 数ある選択肢からプレイヤーが知識やテクニックを駆使して意図する方向に持っていくことよりは、その世界の中に身を置いて「体験」することが第一。ドアを開けるところからいちいち操作させるのも、次々選択を迫るのも「体験」のため。「選択の結果、こう変わった」も用意はするけど、あくまで体験のためで、すべてプレイヤーの計算に応えるものではない。

 もしこれが映画やテレビドラマだったら、「自分の意図通りに結果が変わらない」なんて思わないわけで。これは、操作や選択といった介入ができるようになったことで、より体験が深くなったドラマに近いものなのかなあと。
 ――それって「ゲーム」なの? と言われるのかもしれない。PS1の黎明期に『パラッパ』や『森川君2号』がそう言われながら世に出たように。そういうことだと思っている。


■そして、自分だけの物語。
 1周目終わって、フローチャート見るとおそらく全体の2割も見ていない。終盤はかすりもしていないチャプターもあって、どんな別の道があったんだろうと当然気になる。

 けど、2周目に手が伸びない。あの揺さぶられ体験をもう一度やるのかと思うと覚悟がいる。自分がホラーオカルトグロ表現かなり苦手なので、さらにハードルが高い。
※廃棄場やズラトコ屋敷はよく投げ出さなかったと自分で驚くレベル。

 それに、やっぱり2周目は違うんだろうと何となく分かる。どんな別の道が用意されているのか知りたいという欲求は満たされても、体験は変わる――先に「あの揺さぶら体験をもう一度やるのか」と言ったばかりだけど、たぶんやってみたらそれほどでもないんだろうとも思う。おおーこんな展開になるのかーと驚きつつも、ただ「フラグを立てていく」んだろうと。

 それに、フローチャートに残る1周目の道筋、それを上書きしたくない思いがなぜかある。どうもNew Gameにしても途中からやり直すにしても、通った道筋は1周目のものにそのまま追加されていくようなので。1周目に何を選んだかぐらいはだいたい覚えてるし、もう一度やろうと思えばたぶん辿れるけど、何というか、ただその一筋を残しておきたい。サブアカつくるしかないのか(そうじゃない)

 ここで、ああそうかと腑に落ちることがあって。
 『ICO』、好き以上の何かを確かに自分に残した作品なんだけど、あれも1周しかしていない。あっちは基本一本道で、やり直して何かが変わるわけじゃないけど、2周目要素は少しあり。それに風景の美しさなんかも評価高かったのに、1周目はクリアに必死でじっくり眺める余裕なかったので、2周目ならそういうのもちゃんと見られるかなーとか。

 でもなぜか2周目に行かれなかった。何でだろうとずーっと思ってたんだけど、たぶん同じだと思う。同じ体験は二度と得られず、別の体験で上書きしたくない。

 1周目はそんなに絶対なのか?とも思うし、他のプレイヤーの感想読んでて全然気づかんかったー!というところも多いので(演技とか表情とか音楽とか)それを見に行きたい思いもある。ほとぼりが冷めれば何事もなかったようにコントローラーに手を伸ばすのかもしれない。でもそれまでは、自分だけの物語をひっそりと、大切な宝物のように抱えていたい。
posted by 築城 at 04:35| 感想