2018年02月14日

星の欠片の物語、ひとかけら版 感想(一部ネタバレあり)

『星の欠片の物語、ひとかけら版』

 知る人ぞ知る?自転車創業待望の新作。自分は過去作だいたいプレイ済みで、今回まさかのコンシューマー機参入!と一報聞いてまず驚いたんだけど、細かい情報が出てくるにつれて、ああ必然だなと。PS VRを選んでくれてありがとう!(PC方面だったらちょっと手が出なかった……)

 「全てはVRの為の設定とシナリオとゲームデザイン」は伊達ではなく、一ヶ所に座ったままで探索するためのデザインや、プレイヤー一人ではなく女の子がいる意味といったものをちゃんと用意している。いや別に意味なくても女の子かわいいし!から入っても全然いいと思うけど。そっち方面のサービスはほとんどないことは言っておく。タイムリーにのじゃロリ娘なのはたぶん偶然。

 不思議アイテムや仕掛けの数々は、過去作プレイヤーにはおなじみだけど、そうでないとちょっと「?」かもとは思う。あと設定も一部鼻白むかもしれないぐらいの濃さ&徹底ぶりなので、人によって好みの分かれるところはあるかも。

 VR酔いしにくいのは確か。何しろコントローラーすら使わず、ひたすら目に見える物体や風景眼下に広がる風景を見回して、謎解きの手がかりを探しまくるというつくりなので。ただ、長時間あちこち見回していると首が筋肉痛になったり……自分はした。あれかぶってると時間が分からないからね……謎解きがノってきた時など要注意。

 謎解きの難易度は所々高いので、「女の子のセリフはヒントの塊」「見えないけれど、あるんだよ(視覚以外にも注意!)」あたりで。このくらいならセーフかな。

 「ひとかけら版」といっても体験版+αみたいなものではなく、ちゃんと一篇のゲームとして相応の密度あり。というか、「ひとかけら」って絶対誤解を招いていると思うんだけど、ゲームのボリュームのことじゃないんだよね……ここら辺も含めて、気になったら自らお手にとってみて。そしてひとかけら「じゃない」版を。


 この後はプレイしての雑感。一部ネタバレありなので、クリア後推奨。


 唐突だけど、VRの「そこにいる」感はすごいもので。アニメ絵のキャラクターでもモンスターでも、現実にいるはずのないものがいるように感じられる。個人的には頭の片隅にいつもある「これは現実ではない」という醒めた思考が吹っ飛ぶ、という方がより近いかな。魔法にかかるように。

 だからこそ、ちょっとしたことで魔法がとけてしまった時のがっかり感もまた大きい。モーションのコマ落ち、同じセリフの繰り返し、オブジェに体がめりこむ……普通のゲームならそういうものと思って気にしない、もしくは気づかない程度のことが、VRではとたんに空気を変えてしまう。醒めた思考が復活する。おそらくVRをある程度体験している方がダメージでかい。

 今回、わりと早い段階でこの洗礼を受ける。謎解きの過程で、同じ手がかりを何度か女の子に指し示すと、そのたびに同じ言葉を返してくるから。対象とリアクションが1対1対応の割り切りっぷり。ゲームの内容的にしょうがないとはいえ、VRタイトルならもうちょいそこら辺を大事にしてくれてもいいんじゃ……と思いながら、でも謎解きが進んでくるとそっちに夢中になって、わりと気にならなくなってたり。ただその時には、女の子は謎解きの手段、自分の手足になっている。

 ちょっと前に『V!勇者のくせになまいきだR』をやっていたんだけど、その開発者の方曰く。



 これを読んだ時は、えーもうちょい踏み込んでくれてもいいのよーと思ってたんだけど、今回、ああこういうことかと実感することに。

 『Vなま』における魔王とムスメは、プレイヤーを横から応援したりチャチャ入れたりする立場なので、醒めないように一線を引いておくことも比較的容易と思われるけど、今作は女の子とのやりとりががっつりゲームの真ん中にあるので……これもうどうしましょうね、というところ。
 仮に『ファイナルファンタジー15』並のリソースつぎ込んで、膨大な会話&仕草パターンとそれを違和感なく引っ張ってくるAIがあれば変わるのか。いや、『FF15』にしたって、キャラクターとプレイヤーの間にやりとりがないのは『Vなま』と同じ。たぶんリソースだけでは解決しない。

 だから、あえてのあの素っ気なさなのかなとも思う。下手にモーションや会話パターンを増やしてもたかが知れている。それならプレイのための手段としてそぎ落とす。プレイの先に何を感じるか感じないかはもうお好きに。
 個人的には、彼女とこの先も一緒にいたいと思うのか。「システムで人は泣ける」はVRでも成り立つか――そんなことを思いつつプレイ続行。

※会話パターンの少なさについては、彼女の発言が謎解きの大きなヒントになっていることがあるので、謎解きに関係ない情報を増やしてプレイヤーを混乱させないように――という方がでかいかも。



 そして最後の仕掛けを解いた後――もしかして素っ気なかった理由はこっち? もし彼女にがっつり思い入れていたら、あの結末は相当ショッキングだったのではないかと。というかこれだけ醒めてた自分でもショックだったよ。こんな時まで「VRならでは」しなくていいだろー!

 そして改めて、彼女は自分にとって「いた」のだろうかと考える。悲劇は時々暴力的にずるくて、あんな結末だったからとたんに手足と思えなくなったし、どうにかしたいと思ったけど、もしにっこり笑って別れたのなら、結局手足だったなーと思っていた可能性もある。どっちなんだろう。頭でこねくり回していても分からない。

 だからその先を見たい。欠片を集めて、彼女の願いを叶えたときにどう感じるのか。いやそれもまた笑って別れられる結末とは限らないけど。

※ただ、他のプレイヤーのクリア後感想などネットで見かけると、アレにショック受けた旨のコメント少ないので(ネタバレ配慮もあるだろうけど)、もしかして自分のこの反応は十分「いた」んじゃないかとも少し思っている。

posted by 築城 at 11:20| 感想